クラウンワークス虚実概論 2章

昨日の自分は今日の自分と同じだろうか。
明日は、同じでいられるだろうか。
不確かな自分に、同じく不確かな他者。
それをどこまで信じることができるのだろう。
昨夜の奇跡の代償のように、事態は連鎖反応を起こす。
殆どの人間が、光の下だけを選んで歩むことはできない。
隣にいる親しい誰かも、人に言えない過去を引き摺っている。
七年ぶりに現れた殺人鬼は、純粋な恐怖の象徴だ。
わざとらしいまでに威嚇的な姿に隠されて、顔は見えない。
あるいは、中身など誰でもいいのかも知れない。
高まる淘汰圧により流血は止めどなく、嘘と真実を押し流す。
臓物は不可分なまでに混ざり合い、誰が誰なのか誰も解らない。
信じたいものを信じ続けるために、嘘をつくのか。
選ぶ時が来た。