クラウンワークス虚実概論  3章

ひとたび傷ついた精神は、けして元には戻らない。
人間は心的外傷の瞬間に選択した生き残るための手段を、季節が幾度も巡った後でさえ、繰り返してしまう。
いつしかそれは異常となる。理解されることなく嘲笑を受けて、強制的に正した表面上の傷跡。
ではなぜ、まだ痛むのか。
誰よりも高い場所から見下ろす天使は知っている。
その理由を。その昏迷を。過ちを。
けれど天使は知らない。街にばらまかれた毒薬が、抗いがたい悲愴な願望に応える、か細い手立てであることを。
かくして、敵でないもの同士は、殺し合う道を選択した。
竜と騎士と姫君の宿命は、数千年前から既に準備されている。

塔に閉じ込められた私はお姫さま?

そう信じてもいいのかな

これは私を守るためだから

どれだけ不自由でも愛されているって

だから私は”平気”なんだって

1つの悲劇を見逃せなかった

1人を輔翼すれば皆の守護者ではいられなくなると言うのに

私は歪んでいる

あの日の完勝と刻印した敗北以来

私は間違え続けている

こんな私ですが 愛してもらえませんか

両手がとうに汚れている身ですけれど

身も心も 誰よりも深くあなたに捧げます

どうか愛してもらえませんか

蜉蝣のように未来なく

Chapter 3: Mechanisms that cause changes in serotonin release sites after fear conditioning is established--or arc angel

3章 恐怖条件付け成立後のセロトニン放出箇所の変化をもたらす機構
――あるいはアークエンジェル

さあ、これから劇薬の物語を始めましょう
あなたは正解を導くけれど
今回は100%の解決ではない

  • 構成

    空館ソウ

  • 文章

    九城エリオ

  • イラスト

    雪灯