Cocoons and Psychology
撒かれた場所と心理学
どれだけ研究に手を染めても、覆せない感情がある。幼い日、納得ができなかった喪失。それを焼きつけた烙印。その名は怒り。
飛び級に飛び級を重ね、重要な研究を任された若き才媛。
年齢の近い友達がいないことがコンプレックスで、留学するツァリーツァに、大きな期待を抱いていた。
一方で、対大人で培われた人間関係は幼くつたない。
姉のようにおおらかな奇人であるベルには、特にそうだ。
我が儘も怒りも、よくない方法論も、全部ぶつけて甘えてきた。
それでも、まだ大丈夫だった。
この先は物語の未来の話。
ツァリーツァに誓ったとおり、彼女は念願の学校に入学する。
年の近い少年少女と過ごす、夢にまで見た毎日の到来だった。
改めて人間関係を学び直し、彼女の怒りんぼは幾分改善した。
この後は、正義にもとおるときだけ、彼女を怒りが染めるだろう。
そして紅いカチューシャの少女が転校してきた日、アナはある陰謀を識る。
今は、怒っていいときだ。
そして。